アボットキニーとは南カリフォルニアのベニスビーチにある小さな通りの名前で、ここに住んでいた大富豪の名前に由来している。
大富豪アボットキニー氏がこの街をイタリアのベニスのような海沿いのリゾート地にしようとしたのが始まりで、今では地元のアーティストが多く住み、通りにはお洒落なショップが並ぶ。
オーナーのこだわりを感じる個性的でお洒落な店が多く、ファッションに敏感なハリウッドセレブが集うおしゃれエリアとして有名だ。
またアルチザンとはフランス語で職人や匠を意味する。
アボットキニーアルチザンジェラートは、アボット・キニ―通りに象徴される職人的なこだわりと南カリフォルニアの自由な精神がコンセプトだ。伝統的な少量生産を守りつつも、既成概念に囚われない発想でジェラートの新たな領域を開拓する、そんな想いが込められている。

スパイス・ラムレーズン
このジェラートに使用しているのは、クローブを効かせたラム酒にレーズンをじっくり漬け込んだラムレーズン。
レーズンがラムをたっぷり吸ってぷりぷりしているので、噛んだ時にぷちっと割れてラムの香りが洪水のようにぶわっと広がる。
クローブのスパイシーな甘みと苦味、それにラムの甘い香りが合わさったエキゾチックな風味が独創的でとても美味しい。
クローブはスパイスの一種で、バニラのように甘く強い香りが特徴的だ。
日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、カレーに入れるスパイスとして有名なガラムマサラにもクローブは含まれている。
主な原産国はインドネシアで、インドネシア産のタバコガラムの独特な甘い香りと燃える時にパチパチと鳴るのはこのクローブのためである。
ラムレーズンというとそのままでも充分に大人の味だが、苦味やスパイシーさも加えてさらに大人度が増した一品だ。


フランボワーズ&クリーム
フランボワーズとミルクジェラートを合わせたフレーバー。
フランボワーズとは木苺のことで、イチゴではなくフランボワーズってところがおしゃれ。
フランボワーズは苺よりも酸味がキリッと立っていて、そこにミルクのまろやかさが加わり、美味しさにセンスの良さを感じる。
2枚目の写真のように、程よい硬さにしてからスプーンでよく練ると舌触りも良くなり、風味も格段に上がる。
これはコンビニアイスでも同じなので是非試してほしい。


ジャンドゥーヤ
ジャンドゥーヤとはナッツのペーストを混ぜたチョコレートのこと。
使用するナッツはアーモンドやピスタチオなど様々なタイプがあるが、最もスタンダードなのはヘーゼルナッツ。
このジェラートで使われているのもヘーゼルナッツだ。
ベースのコクのあるチョコレートの合間に感じるヘーゼルナッツの香ばしさ。
カカオもヘーゼルナッツも、先ほどのスパイス・ラムレーズンのように強く主張してはこないが、むしろ全体が上手くひとつにまとまっている印象。
丁寧で繊細な仕上がりに、コンセプトのひとつであるアルチザン(職人的な匠技)を感じる。
高級ブランドのチョコレートのような上品できちんとした感じの味だ。

抜群のセンスが生み出す美味しさ
全体を通じて感じるのは、定番スタイルを敢えて外すそのセンスの良さだ。
こだわりや独創性のあるジェラートは他にもたくさんあるが、アボットキニーのジェラートはなんかオシャレ。
ラムレーズンにクローブを加えたり、アイスの定番ともいえる苺ではなくフランボワーズを使用するなど、奇抜というほどぶっとんではいない、ほどよいアレンジにセンスが光る。
これがアボットキニー通りに根付くアーティスティックなこだわりと、南カリフォルニアの自由な風土なのだろう。
またどのフレーバーも、甘みを抑えて素材の香りや風味を引き立てているように感じた。
スパイス・ラムレーズンのクローブ、フランボワーズ&クリームのフランボワーズ、ジャンドゥーヤのヘーゼルナッツなど、使用する食材の風味が口の中に広がりとても美味しい。
次回は引き続きアボットキニーアルチザンジェラートのフレッシュミルク、ソルティー・ロック・キャラメル、抹茶マスカルポーネをご紹介。こちらもセンスの良いこだわりが味わえそうで楽しみだ。
Abbot Kinney Artisan Gelato
- 住所
- 東京都渋谷区幡ヶ谷2-5-3
- お問い合わせ
- 03-6276-6750
- アクセス
- 京王電鉄京王線 幡ヶ谷駅 徒歩3分(132m)
- 営業時間
- 平日 14:00~22:00
土日祝 12:00~22:00
(2階席のご利用は21:30まで) - 定休日
- 水曜
- webサイト
- http://abbot-kinney-gelato.jp
- オンラインショップ
- https://www.rakuten.co.jp/abbotkinney/
