#43 ARIETTA del gelato(アリエッタデルジェラート)

ノッチョフィーコ
ノッチョフィーコ

そよ風を感じるジェラテリア

ARIETTA del gelatoは、神奈川県西部の秦野にあるはだの桜みちと呼ばれる見事な桜並木沿いにある。
ARIETTAとはイタリア語でそよ風を意味し、その名の通り、桜並木の緩やかな坂の上からそよ風が吹き抜けるような、明るく爽やかな店構えだ。
壁に掛かった大きな黒板に書かれたメニューを見ると、落花生、紅ほっぺ、八重桜など地元・秦野産の食材を多く使用しているのに気がつく。またキウイや湘南ゴールド、みかんはここから近い小田原産を使用している。近隣エリアで採れる素材を積極的に取り入れる姿勢に、オーナーがこの土地を大切にしている様子が感じられる。

湘南ゴールド、トルダディキウイ、マラガ
湘南ゴールド(奥)トルダディキウイ(右)マラガ(左下)

湘南ゴールド、トルタディキウイ、マラガ

湘南ゴールドとは神奈川県が開発した柑橘系フルーツで、華やかな香りと高い糖度を特徴としている。柑橘系特有の酸っぱさに口の中がキュッと覚めるような感覚だ。穏やかな苦味と爽やかな甘さのバランスがよく、チョコレートなどの濃厚系フレーバーとの相性が良さそうだ。

トルタディキウイはリコッタチーズのジェラートにキウイのコンポート(フルーツをシロップで軽く煮たもの)とアーモンドビスケットを混ぜ合わせたものだ。ビスケットはサクッとした軽い歯ごたえで、アーモンドの風味とキウイの酸味がよく合う。コンポートは注文を受けてからジェラートに混ぜるので瑞々しさが感じられてとても美味しい。

マラガはイタリア語でラムレーズン。大粒のレーズンがゴロゴロと入っている。このレーズン、よくあるシワシワの見た目でむぎゅっと噛みごたえのあるレーズンとは違い、ラムをたっぷり吸っているためにぷっくりと膨らんでいる。噛むとぱちっと弾けて果汁とラムの凝縮された甘みが口の中に一気に広がり、強めに効かせたラムの香りが鼻に抜けていく。ベースのクリームジェラートはなめらかで、主張のあるラムレーズンとのバランスが絶妙。こんなに芳醇かつジューシーなラムレーズンアイスは初めてだ。

完熟いちご、桜庵
桜庵(左)完熟いちご(右)

桜庵、完熟いちご

桜庵はあずきジェラートに八重桜の塩漬けを混ぜたもの。ARIETTAのあずきは水羊羹ならぬ氷羊羹をイメージしているとのことで、なめらかな舌触りとトロッとした食感がたしかに羊羹風だ。八重桜も秦野産で、秦野は食用八重桜の生産量で日本一を誇るという。ほのかな桜の香りに気持ちも春めく。

秦野産の紅ほっぺを使用した完熟いちご。紅ほっぺの持つ華やかな甘みと香りがしっかり感じられて、とても甘くてとても濃い。いちご以上にいちごだ。それでいて食感はスムージーのようにフワッと軽くて美味しい。

伝統のみかん、ノッチョフィーコ、ゴールデンカカオ
伝統のみかん(奥)ゴールデンカカオ(左)ノッチョフィーコ(右)

伝統のみかん、ゴールデンカカオ、ノッチョフィーコ

小田原にある老木から採ったみかんのジェラート。おいしいみかんでもジェラート向きとそうでないのがあるらしく、この木のみかんは間違いなくジェラート向きだからと、切られそうだったところを頼んで残してもらった木で、老木のため来年も実がなるかどうか分からないという。それを聞いたら食べないではいられない。みかんの甘さが濃くぎゅっとつまっていて、そこへ絶妙な酸味が加わってフレッシュ感がプラスされている。

ゴールデンカカオはビターチョコに湘南ゴールドを加えたフレーバー。チョコがとにかく濃厚で、カカオの苦味が湘南ゴールドの爽やかな甘酸っぱさとベストマッチしている。一緒に盛った伝統のみかんとの相性が抜群だ。上にかかっているのは湘南ゴールドの皮を砂糖漬けしたもの。クリスタルのようにキラキラして、香りと食感と華やかさのアクセントになっている。

ノッチョフィーコはヘーゼルナッツのジェラートにドライいちじくの赤ワイン煮込みを混ぜたアイス。トルタディキウイと同様に、注文を受けてからその都度いちじくのコンポートをジェラートに加え混ぜている。
このジェラートはARIETTAのインスタに書かれたオーナーとお父さんとのエピソードを見てぜひ食べたいと思ったフレーバーだ。オーナーが長年「食」について言い合いを繰り返してきた頑固な料理人のお父さんから「うまい、こういうのだよな」と言ってもらえたヘーゼルナッツといちじくの料理を、ジェラートに落とし込んだと書かれていた。「その一言をもらうのに15年かかったんだなぁと、感慨深いものがありました」という一文に胸が熱くなり、これは食べに行かなくては!と思ったのだ。
ベースになっているジェラートはヘーゼルナッツの香りがどこまでも深く濃い。そこにいちじくの甘みが混ざり合って、深い味がさらに広がる。そして内側からしっとりと薫る赤ワイン。これはとても美味しい。
オーナーの15年に渡る積み重ねと親子の絆をリスペクトしつつ、その美味しさを味わわせていただいた。

完熟いちごのアッフォガート
完熟いちごのアッフォガート

完熟いちごのアッフォガード

アッフォガードとはアイスに飲み物をかけたデザートで、イタリア語で溺れるという意味だ。エスプレッソをかけたものが有名だが、アイスが液体に溺れていればかけるものは紅茶やお酒などエスプレッソに限らない。
完熟いちごのアッフォガードでジェラートにかけるのは、先ほどの絶品ジェラートで使用されていた秦野産紅ほっぺのコンポートだ。
いちごは一口に収まるように敢えて小粒を選んであり、どの粒も煮崩れる直前でぷるっぷるしている。それが口の中でポワッと割れると中から果汁が溢れ出て、その瞬間苺の豊かな甘みと香りに包まれる。
アイスはARIETTAこだわりのミルクジェラート。風味豊かでフレッシュな味がシンプルに美味しくて、苺とのコンビネーションが最高だ。

落花生、ティラミスゥ
落花生(左)ティラミスゥ(右)

落花生、ティラミス

アーモンドやヘーゼルナッツなどナッツ系アイスはよくあるが、落花生つまりピーナッツのアイスクリームは初めてだ。口に入れた途端に落花生の香りがぶわっと広がり、すぐにスーッと消えていく。ともすればしつこくなりがちなピーナッツの味は軽やかで、クリーミーでなめらかな舌触りと相まって上質な印象だ。

ティラミスゥはたっぷりとエスプレッソを吸ってしっとりとなったスポンジ生地がまだ形を留めた状態でたくさん入っている。マスカルポーネアイスはまろやかで、カカオの風味がアクセントとなり、すべての素材がバランスよく調和している。

ARIETTAのメニュー
ARIETTAのメニュー
カッフェアッフォガート550円、完熟いちごのアッフォガート580円、ブリオッシュコンジェラート600円
アッフォガートとブリオッシュコンジェラート

真摯なジェラート

オーナーはイタリアや日本の人気店でジェラート職人としての修行を積んだ後、縁あってこの場所にお店を開いた。2018年3月にオープンしてまだ一年しか経っていないが、ひっきりなしにお客さんが出入りし、時に店内に列ができるほど人気だ。

忙しい合間に少し機会がありオーナー夫妻と話をさせていただいて感じたのは誠実な人柄だ。食材とその生産地に対する敬意が、会話や一つ一つのフレーバーから感じる。とても丁寧にジェラートを作り提供しているので、どれを食べても美味しくて清々しい気持ちになる。

メニューには冬季限定でパンにジェラートを挟んで食べるブリオッシュコンジェラートもある。このブリオッシュも近隣・足柄のベーカリー アスラン特注というこだわりだ。オーナー曰く「パンに愛のこもった素晴らしいパン屋さん」らしい。これはかなり気になる。
並んでいる途中で売り切れてしまったフレーバーもいくつかあったので、是非また訪れて心地よい風を感じながら美味しいジェラートを味わいたい。

ARIETTA del gelato

住所
神奈川県秦野市西大竹3-8
お問い合わせ
0463-45-4592
アクセス
小田急線秦野駅から931m
駅からバスの場合は 秦90バス 小原台入口下車 徒歩1分
営業時間
11:00~18:00
定休日
不定休(Instagramで随時告知)
webサイト(Instagram)
https://www.instagram.com/arietta_del_gelato/
ARIETTA del gelatoの外観