

世界で2箇所だけ
ジェラテリアマルゲラはミラノの老舗ジェラート専門店で、現地でも人気の有名店だ。
ベーシックフレーバーシングルで550円、プレミアムフレーバー同士のダブルだと1,000円と全体的に値段が高めだが、世界でもミラノと麻布十番にしかお店がないという超レアなこの店は、夕方以降や週末になると駅から遠いのにも関わらず外のテラス席もいっぱいになるほど人気だという。
たくさんあるフレーバーをゆっくり眺めながら何を食べるか考える。開店すぐだったので、どのジェラートもできたてのように美しくうねりを描いて並んでいる。その中でひとつだけ違った見た目のフレーバを発見。この季節にこの細長いニョロニョロといえばあれしかない。これを頼もう。
そしてもうひとつ気になったのは紅の夢。名前からは何の味か想像できないし、写真を見ても何の食べ物かすぐには分からず、説明書きを読んでようやく分かった。これは是非食べてみたい。

モンテビアンコと紅の夢
モンテビアンコとはイタリア語でモンブランのこと。細長いニョロニョロとはモンブランの上に乗っているあの特徴的なクリームである。ひとくち食べると芳醇なマロンの香りが口から鼻の奥までブワッと広がる。甘さは控えめで、贅沢で上品なモンブランがそのままアイスになったようだ。なめらかなアイスクリームにホイップしたようなふんわりしたアイスが混ざっている。このふんわりはセミフレッドと呼ばれるイタリアでは定番のデザートで、ホイップさせたクリームを半冷凍(セミ=半、フレッド=冷凍)させたものだ。ジェラテリアマルゲラのモンテビアンコは栗ジェラートと栗セミフレッドの両方を使用しており、しっとりとふんわりの2つの口溶けを楽しめるのだ。
紅の夢とはりんごの品種名だ。青森の弘前大学の新品種研究で偶然生まれた、果肉まで赤いりんごである。写真に写っている断面を見ても見事に中まで赤いため、まさかこれがりんごとは分からなかった。
りんごを赤く色づかせる成分は抗酸化作用があり体によく、紅の夢には皮だけでなく果肉部分にもこの成分が含まれているという。
このジェラートは鮮やかなりんごの香りと程よい酸味が心地よい。シャーベットのようにシャリッとしつつもふわっとした食感。細かく刻んだ皮もたくさん入っており、それがより香りを良くしてくれる。
栗とりんご。味も香りも食感も全く異なるが、どちらもその良さを大切にしながらとても美味しく仕上げてあり、一緒に食べても互いを損なうことなくむしろそれぞれの風味が立って更に美味しく楽しめた。

ゴルゴンゾーラのドポチェーナ
ジェラテリアマルゲラの魅力は美味しいジェラートだけでなく、日本ではあまり見かけないデザートやフレーバーが食べられることも挙げられる。このドポチェーナもそのひとつ。
ドポチェーナとはイタリア語で夕食後という意味。そしてデザートでドポチェーナというと、ジェラートをカップやコーンではなく透明な容器に入れて、チョコやフルーツを乗せて華やかに飾ったパフェ風ジェラートのことをいう。見た目が美しい上に持ちやすいので食べ歩きにも便利。ジェラテリアマルゲラにはたくさんの種類のドポチェーナがある。
今回選んだのはゴルゴンゾーラ。上に乗ったいちごと大粒のブルーベリーがシャリッと凍っていて、キーンとした冷たさが美味しい。赤い部分はいちごとザクロのアイス。シャーベットの食感にいちごの甘酸っぱさとザクロの甘い香りが混ざり合う。
下の白い部分はゴルゴンゾーラアイスで、紫色はミックスベリーソース。このゴルゴンゾーラアイス、チーズ好きにはたまらないチーズ臭さ。臭うまい。チーズ味のアイスというとほんのりチーズの風味がする程度の物が多いが、このアイスの強くしっかりとしたチーズのにおいには驚いた。それがミックスベリーソースやいちごザクロアイスに本当にとてもよく合う。
以前食べたSt.Cousair(サンクゼール)のアイスパルフェでもアイスとチーズの組み合わせが美味しかったのを思い出す。あのときもスプーンの上に全部の味を乗せようと奮闘したのだった。(St.Cousair(サンクゼール)の紹介記事はこちら)
今回もゴルゴンゾーラジェラートとシャーベットやベリーソースを絡ませようと、この細長い容器の中でスプーンをシャカシャカと鳴らしながら頑張った。

パッションフルーツとクロカンテ
最後にもう一カップ。ひとつはさっぱりしたフルーツ系をとパッションフルーツ。もう一つは名前からは味が分からない故に興味をそそられるクロカンテ。
パッションフルーツはちょっと顔を近づけるとその香りがぱぁっと広がった。そしてひとくち口に入れると、思わず「ん〜!」と唸る甘酸っぱさ。酸味と甘みと香り。フルーツの美味しさを充分に感じられる。パッションフルーツ独特の種がたくさん入っていて、パチパチとした食感が楽しい。
クロカンテとはイタリア語でバリバリ、カリカリ、サクサクといった食感のことを指す。ジェラテリアマルゲラのクロカンテはミルクジェラートにチョコソースと、砕いたアーモンドにキャラメルを絡ませたものを混ぜてある。このキャラメルアーモンドがカリカリっとクロカンテな感じなのである。ミルクの風味がとてもまろやかで、チョコソースとキャラメルアーモンドは強すぎずちょうどよい塩梅でまとまっている。なめらかな食感の中に、アーモンドのカリッとした歯ごたえが軽快だ。少し固めのねっとりとした舌触りがこのジェラート美味しさを後押ししている。

お酒の後は〆のアイス
この日は食べなかったが、サクサクビスケットにアイスを挟んだビスコッティもとてもおいしそう。その他カフェメニューもあり、エスプレッソをジェラートにかけて食べるアフォガードも注文できる。
営業時間が22時30分までなので、ディナーや飲み会の後で食べられるのも嬉しい。
ミラノっ子を魅了するジェラテリアマルゲラの絶品ジェラートが日本でも食べられるなんて超ラッキー。お近くにお立ち寄りの際は是非足を運んでみてほしい。おいしいよ。







GELATERIA MARGHERA
- 住所
- 東京都港区麻布十番2-5-1
- お問い合わせ
- 03-5772-3283
- アクセス
- 南北線・都営大江戸線 麻布十番駅 4番出口 徒歩4分(240m)
- 営業時間
- 11:30~22:30
- 定休日
- 不定休
- webサイト
- http://gelateriamarghera.jp
